留学1年目の気づき

あっという間に渡米から1年が経った。留学前の準備や到着後の生活などを忘れないようにメモしておこう。

出発準備

入学手続きなどは大学から案内があるので、その他気づいたことを中心に。

実家との連絡手段の用意

PC に疎い両親でも苦労なく使えることと安く使えることの2点を考慮。

初めは Skype を考えていた。普通の電話機とよく似たデザインで PC なしで使える機器があったが、両親が使えるか不安だったことと安定性に難があるとのレビューをよく見かけたので断念。

自分から電話をかけるのは Skype でも Google Voice でもいいが(安いことが前提)、実家からも簡単に電話できることを考慮。
最終的にはヤマハの VOIP ルータ NVR500 を買ってIP電話環境を用意した。ヤマハのルータでなくてももちろん可能。インターネット回線さえあれば普通に無料で電話ができるので、電話代の節約に大いに役に立っている。
ルータなしでも VOIP 環境を整えることはできるが、両親が楽に使えるようこれまで使っていた電話機で電話できるようにしたかったため、思い切ってルータを買った次第。
両親にとっても、ダイアルする番号が変わっただけなので難なく使えているようだ。
SIP サーバにはバックアップも兼ねて sipgate.co.ukekiga.net を登録。ヤマハの NetVolante インターネット電話もあるが、普段は sipgate.co.uk を使っている。
雑音・遅れなどの不具合も滅多になく、携帯電話で話しているのと同じ感覚。
回線に左右されるものの、NTT 固定電話・au 携帯電話が繋がりにくくなった去年の台風12号のときも使えた。

自分の方では MacBook 2台と iPhone, iPod touch で電話を受けられるようにしている。SIP クライアントは MacBook では Zoiper 無料版, iPhone と iPod touch では Acrobits Softphone(800円ほどだったと思う)を使用。

ルータは高い買い物だったが、すでに十分回収できている。
いろいろ準備したがこれは一番の成功だった(自画自賛)。

家族向け「留学のしおり」の作成

留学が決まって喜びはしたものの、やはり家族(特に両親)は心配だったようだ。
そのため、家族のために「留学のしおり」を作成。記載事項は下記の通り。

  • 自宅と大学の住所・電話番号
  • 街の基本情報(場所、気候、時差)
    緯度が十和田湖とちょうど同じ、とかイメージしやすい情報を書いておいた。
  • 手紙・荷物の送り方
  • PC での Skype の使い方
    どうしても使わないといけなくなった場合を想定。

それなりに役に立っているらしい。渡米後も必要に応じて適宜更新している。

家庭内ネットワーク図の作成

留学中も自分が実家のネットワークの管理をする必要があったため、ネットワーク図を作成して持参。
所詮家庭内 LAN なので大したことはないが、たまに見返すことがある。

VPN の準備

NVR500 には VPN サーバ機能(PPTP. IPsec には非対応)もあり、実家のネットワークに入れるのは、予想以上にありがたい。実家の PC を VNC でリモート操作したり、プリンタ・スキャナも使えて大変便利。

早め早めの手続き

ビザの申請など事務手続きは早めに済ませた方が精神衛生上よい。
在京米大の受付は混む。ただ、申請後は確か2日で届いた。

シティバンクでの口座開設・外貨キャッシュカード

日本からの送金にはシティバンクを使っている。
オンラインで送金できるため外貨キャッシュカードは渡米後数回しか使ってない。キャッシュカードはなくても困らないが、あったほうが安心。

渡航前の下調べ

ピッツバーグで暮らす場合、ピッツバーグ便利帳はバイブル。渡航前後にたびたびお世話になることになる。他の都市にも似たようなものがありそう。

現地空港到着後、宿泊先までの足の調査

空港からのバス (28X) の時刻表は予め iPod touch にダウンロードしていたが、バスを降りてバス停から宿泊先(自分の場合は大学の学生寮)までの道順を確かめていなかったため焦った。幸い学内全域に Wi-Fi が整備され、CMU の学生アカウントをすでに持っていたため Wi-Fi を利用してキャンパスマップをダウンロードできたが、これが利用できなかったら迷っていたと思う。

なお、市バスを運営している Port Authority of Allegheny County (PAT) の財政状況が厳しいらしく、28X バスは2012年9月2日以降は空港の手前までの運行になり市バスでは空港に行き来できない可能性がある。そうなると車がない場合 SuperShuttle やタクシーなどを利用しないといけなくなる。これでいいのだろうか。

到着後

生活の立ち上げ

生活の立ち上げのための雑用がたくさんある。順序としては、

  • 大学の留学生センター(カーネギーメロンの場合 Office of International Education (OIE))に到着の報告
  • 携帯電話購入(自分の場合、AT&T のプリペイド GoPhone にした)
  • 銀行口座開設(連絡先として電話番号も必要)
  • アパートの契約(カーネギーメロンの場合、大学院生は学生寮には住めないことになっており、自分でアパートを借りることになる。契約には銀行で作ってもらう小切手が必要(Walmart などで作れるマネーオーダーでも可能かも)。
  • インターネットの契約(必要な場合)
  • 米国内でのクレジットカードの発行(必要な場合。自分は JAL USA カードにした)

という感じになる。以下、自分の経験。

到着

当日は午後8時過ぎに大学に到着し、宿泊予定の大学の寮にチェックイン。前述の通り大学院生は学生寮に定住はできないが、学生の多くが出払う夏休み期間中は短期で一時滞在が可能。合格後、大学側から斡旋してもらえる。確か1泊60ドル程度だったと思う。自分はここに1週間ほど滞在。

大学の留学生センターに到着の報告

一夜明けて時差ぼけのなか留学生センターに行った。学生カード(これがあると市バスに無料で乗れる)を発行してもらえないかと期待していたが、2, 3日待てとのこと。

いま思えば、大学側としてカードの発行を拒む理由はないし、もう一押しすればカードを作ってもらえたと思う。雑用でいろいろ移動するしバス代も馬鹿にならないので、早めに作ってもらったほうがよい。

携帯電話購入

Squirrel Hill にある Radio ShackAT&T GoPhone のプリペイド携帯 LG Prime GS390 を購入。GoPhone だけでなく VerizonNet 10 なども置いてあった。プリペイドだけでなくポストポイドの機種もあったはず。
普通にポストペイド契約をしようかとも考えたが、クレジットヒストリーがないために数百ドルのデポジットを取られそうだったのでプリペイドにした。
結果的には何の不自由もなく使えている。
# LG Prime GS390 は使いづらい機種だった。タッチパネルの反応は悪いし、メニューリストも日常的に使うには面倒な構造・並びだった。
# その後、10ヶ月経って AT&T から Straight Talk(AT&T の MVNO)に変更

銀行口座開設

キャンパス内には PNC BankCitizens Bank の ATM があるので、どちらかの銀行がよい。サービス内容は大差ない。
自分は PNC にすることに決めて、Forbes と Craig の交差点近くにある支店で口座開設。日本のシティバンクで作っておいたトラベラーズチェックで入金。後で気づいたがキャンパス内の University Center の地下にも支店がある。
大学近くの支店であれば留学生の対応に手慣れているので大丈夫だろうが、SSN がなくても口座開設は可能。
自分の場合、住所は学生寮で登録し、自宅に届くことになっているチェックカード(キャッシュカード)は支店宛に送ってもらって届いたら受け取りに行った。
口座開設時に当面使う分として小切手を数枚もらえる。
アパートの契約、大学への諸費用の支払いなどで使える。

アパートの契約

忙しさにかまけて渡米前に大した下調べをしてなかったため、到着後に苦労した。
入学時期ということもあって、ピッツバーグ便利帳に載っているような人気の物件はどこも空きがなかった。
近くのスーパーに積んである無料の情報誌や大学のウェブページに載っているアパートに連絡して下見のアポをとった(大学の Housing Services はウェブページに載っている資料をくれただけだった)。
渡米直後の電話でのやり取りはきついので、日本にいるうちからメールなどでアポを取り付けておくとよい。
一人暮らしだし、どうせ2年しか住まないし、いろいろ回って探しても大して変わらないだろうと考え、下見した1件目に入居した。

インターネットの契約(必要に応じて)

どこの大学でも Wi-Fi はあるし、スターバックスやその他レストランなどでも公衆無線 LAN (だいたい無料)が利用できる。が、家でもインターネットを使いたいので、Comcast と契約した。
ウェブページからの申し込みには SSN が必要なため電話やウェブページ上のライブチャットで申し込もうとしたが、結局近くの営業所に行くように言われてしまった。
営業所は用事もないような場所(ダウンタウン発 26のバスで Chartiers at Corliss‎ 下車)にあり、バスの本数も少ないので車を持っている友達がいれば連れて行ってもらうのがベスト。
# 前述の2012年9月2日の大幅な減便により26系統のバスは廃止予定。PAT のウェブページによれば、平日は24, 27のバスを乗り継いで行くことになる模様。

米国内でクレジットカードの発行(必要に応じて)

日本で発行されたクレジットカードや銀行で作ったチェックカードがあれば、急いでやる必要はない。
日本のカードで2年間過ごすという選択もあり。
自分のようにクレジットヒストリがない人でも作れるカードとしては ANA CARD U.S.A.JAL USA CARD がある。
サービス内容は似たり寄ったりでどちらもマイレージがたまる。自分は Star Alliance 系のマイレージは United でためているので、後者を選択。

電話

Google Voice(無料)はとても便利。電話番号が一つもらえて(すでに持っている番号を Google Voice に使うことも可能。ただし手数料がかかる)、かかってきた電話は PC や携帯電話などで受け取れる。
当面は米国・カナダへの発信も無料で、受発信に料金のかかるプリペイド携帯を使っている場合は電話代の節約になる。

現地での事務手続き

ペンシルベニア州の運転免許・State ID の取得などで PennDOT, Social Security Office (SSO) に出かけることがあるが、担当者によって対応がまったく違うので要注意。
最近は I-20 の有効期限が1年未満でも運転免許が取得できるようで(OIE からもそのように聞いていた)、実際に自分も取得できたが、同じ状況なのに申請を断られた人がいるらしい。
また、State ID 取得には SSN か SSN Denial Letter が必要で、自分も SSO で Denial Letter をもらったが、友人は自分と同じ状況なのに SSN が発行されてしまった(ラッキー?)。
一度窓口で断られても、日を改めたり別の事務所(SSO はカーネギーメロンの近くだとダウンタウンと East Liberty の2カ所ある)に行ってもいいかもしれない。
# 担当者によってこうも変わるというのはどうかと思うが。

メンタルヘルス

おろそかになるのが心の健康。(独)労働安全衛生総合研究所 倉林るみい先生(とそのお師匠である故稲村博氏)によれば、海外生活に適応していくプロセスは次の5つの段階に分けられるらしい。

  1. 移住期: 新しい関係に慣れようと努力。緊張と興奮。
  2. 不満期: 生活が落ち着き始めるとともに、現地の欠点に気づき始める。心身に不調が生まれやすい。
  3. 諦観期: あるがままに現地を受け入れ始める。
  4. 適応期: 海外生活を心から楽しめる。
  5. 望郷期: 無性に日本に帰りたくなる。離日後概ね5年以上で見られる。

なお、滞在中に適応期まで達することのない人もいるとのこと。

自分は到着後2, 3日目のとき、果たして2年間も生活していけるのかかなり不安になった。
# 上の区分でいうとどれに当てはまるのだろう。移住期以前の問題だろうか。。不安期?
音を上げて帰国しようかと漠然と思ったりもしたが、そのとき助けられたのが友達からもらった絵本だった。
絵本にいろいろとメッセージを書き込んでくれたもので、このおかげで本当に力が出た。
読んでいるうちに力づけられていくのが自分ではっきり分かるくらいだった。
実は留学前に荷造りをしているときに入れ忘れそうになった(失礼)が、持ってきて本当に良かったと思っている。
いま振り返ると、自分にとってそれぞれの期間は多分次のような感じだった。

  1. 移住期: 到着後3週間ほど。
  2. 不満期: 移住期以降、到着後2ヶ月ほど。
  3. 諦観期: 今ここだと思う。
  4. 適応期: ひょっとするとここかも知れない。

在留邦人のメンタルヘルスについては、下記にいろんな事例あり。

企業の海外赴任者のストレス((財)海外法人医療基金 海外医療 1996 SEPTEMBER No.18 特集 「海外在留邦人のメンタルヘルス」より)
http://www.jomf.or.jp/report/kaigai/18/030.htm

また、同財団の下記ページも詳しい。

「海外メンタルヘルスの現場から」((財)海外法人医療基金 ニュースレター)
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#j

その他の気づき

いろんなものの大きさ

スーパーで売られている牛乳・オレンジジュースなどは1ガロン(約3.8リットル)か半ガロン。洗剤の容器みたいな入れ物に入っていて初めは相当抵抗があった。牛乳は甘い。見た目にも味にも違和感を感じていたが、慣れとは不思議なもので気にならなくなった。

スーパーの買い物かごも日本のものと比べて一回り大きい。アメリカ人はそのかごからあふれるくらい買い物するのだからそりゃ体も大きくなるだろう。

宅配便

宅配便は基本的に時間指定ができず(配達日の指定は可能)、土日の配達もない(USPS は土曜も可能)。
初めのうちはサービスと呼べないぐらいとんでもないサービスだと思っていたが、これまた慣れとは恐ろしいもので、仕方ないと思えるようになった。

平日に丸一日家にいることはないため配達のおっちゃんと面と向かって荷物を受け取ることはほとんどなく、大体アパートの入り口に置かれている。
配達されたはずの荷物がなくなっていることもまれにあるそうだが、幸い自分は今のところ大丈夫。
家の外に配達物をそのまま置いていくのは今でも不思議。アメリカなのに。
配達物専門の泥棒とかいないのだろうか。